ネオクラシカルな日本のうたの曲解説シリーズ。
今回は、小林秀雄作曲・峯陽作詞の「すてきな春に」です。
作曲の小林秀雄さんって?
小林秀雄(1931年ー2017年)
東京都出身の作曲家。東京藝術大学卒。
「落葉松」をはじめとする歌曲・合唱曲や童謡「まっかな秋」、オペラ、器楽曲、小学校校歌など数多くの楽曲を手掛ける。66年に中田喜直らと「波の会」(後に「新・波の会」と名称変更、現日本歌曲振興波の会)を創設し、会長を務める。また、本人が直接合唱団を指導することも。愛知県立芸術大教授などを歴任。
小林秀雄 (作曲家) – TOWER RECORDS ONLINEより引用
「まっかだな まっかだな つたの葉っぱがまっかだな」とはじまる、
童謡「まっかな秋」は、みなさんご存じですよね。
また、「落葉松」は独唱曲としても合唱曲としても人気です。
作詞の峯 陽さんって?
峯 陽(1932年~)
旧朝鮮・京城に生まれる。東京大学経済学部を卒業。下町の福祉施設でケースワーカーとして働いて以来、老人や子どもたちの現場と関わり続けている。また児童福祉司として足立児童相談所で働いていた。
2001年現在、全国老後保障地域団体連絡協議会会長。
「ガンバリマンのうた」「オバケなんてないさ」「ライオンのうた」など童謡作品も多く、詩人・作曲家としても活躍中。
(全音楽譜出版社 日本歌曲選集1 p.161より引用)
「オバケなんてないさ」は、私も小さい頃よくテレビで聴いてたなあ。
峯さんは、「おばけなんてないさ」では作曲を担当されています。
とてもマルチに活躍されている方です。
「すてきな春に」の歌詞
では、歌詞をみてみましょう。
すてきな春に
ある朝 わたしは町かどで
すてきな春にあいました
いきなり心がうろたえて
つぼみがジンとふくらんで
春が手紙をくれました
心で電話がなりました
やさしく腕をくみました
愛することのよろこびを
春がおしえてくれました
春の夜ふけの公園で
言葉が星になったとき
つぼみは花になりました
春が手紙をくれました
心で電話がなりました
あなたの胸でなきました
愛することのよろこびを
春がおしえてくれました
峯 陽・詩
2月も後半になりましたが、すこしづつ暖かい日も増えてきましたね。
今の季節にぴったりだなと思って、今回はこの「すてきな春に」を選んでみました。
よろこびがたくさん詰まった、素敵な歌詞です。
もうひとつの解釈を考えてみた
さて、この詩では
「春」と出会って、「春」が手紙をくれたり、
愛することのよろこびをおしえてくれたりします。
この「春」が何かを想像することで、色んな解釈ができそうですよね。
一番王道なのが、「春 = 恋人」という解釈。
楽譜に記載されている曲解説にも、
春とともにおとずれた恋への思いと、愛することの歓びを高らかに歌いあげている。
とあるので、いちばんメジャーな解釈ではないかなと思います。
私が今回、この詩をじっくり読んでみておもったのが、
この「春」を、「自分の子供」と捉えることもできるかも!ということ。
「つぼみがジンとふくらんで」とか「つぼみが花になる」というワードも、
子供の成長と考えると結構しっくりきますよね。
そして、第4連目の「あなたの胸でなきました」の「あなた」を夫だと考えると
なんだか素敵な家族の曲にも思えてきました♪
(1連目の「町かどで あう」というのはあまりしっくりきませんが…(笑)
歌うひと、それぞれが自分にとっての「春」がなんなのか。
自由に発想してみるのがたのしい詩です。
また、「心で電話がなる」や「言葉が星になる」などの
おもしろいワードも出てきます。
このあたりも、想像力がふくらみますね~♪
華やかで映える一曲
この曲。実は歌曲ではなく、「演奏会用アリア」なんです。
演奏会用アリアとは、簡単に言うと
オペラに出てくるようなアリアを、演奏会用に単独で作っちゃいました!というもの。
モーツアルトがたくさん作曲していますが、
この曲のような日本語の演奏会用アリアって、かなり珍しいんですよね。
そして小林秀雄さんの付けられた曲は、
「演奏会用アリア」として作られただけあって、かなり華やかな曲です!映える!
詩の1連目は、レチタティーヴォで、お喋りするように表現されています。
ピアノと歌の掛け合いが楽しくて、ピアノも喋ってるみたいに聴こえます。
「すてきな春に あいました」の最後のピアノの32分音符は、電話のベルを表しているそう♫
そして、2連目からはアリア(歌)の部分に入っていきます。
3拍子で軽やかなメロディーが、まさに春!といった感じ。
新しい恋に浮き足だっている感じがあって、とてもかわいいですよね♪
そしてテンポの揺れ動きもたくさんあって、心の動きを自由に表現できます。
後半、すこし曲調が変わるのが
「あなたの胸でなきました」のところ。
それまでの幸せオーラいっぱいな感じではなく、少しニュアンスが出てきます。
なんといっても「なきました」なのです。
どうして泣いたんだろう?なにがあったんだろう?
ここの「なきました」は、歌い手さんによって様々な表現になって
聴きどころじゃないかなと思います。
おわりに
春にぴったりの曲を、今回は解説してみました!
うたもピアノもとっても華やかで、演奏会のメインになるような曲。
日本語でこれだけ華やかな曲って、本当にめずらしいんですよね。
これからも大切にうたっていきたい一曲です♪
この記事で紹介したうたを、レッスンでうたってみませんか?
声楽個人レッスン・ボイトレを行っています♪
今回ご紹介した「すてきな春に」を、一緒に歌ってみませんか?
オンラインレッスンなので、自宅から参加OK! そして安心安全◎
ボイトレや声楽レッスンが初めての方・初心者さんも大歓迎です(*^^)
気になる方は、まずは無料体験レッスンにお越しください♪
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました♪