曲の紹介

「ひばり」作曲:木下牧子、作詞:やなせたかし

ソプラノ歌手/声楽講師/アウトリーチ専門演奏家の永井友梨佳です♩

 

ネオクラシカルな日本のうたの曲解説シリーズ!

今回ご紹介するのは、木下牧子作曲・やなせたかし作詞の「ひばり」です。

歌曲集「愛する歌」の1曲目となります。

作曲の木下牧子さんって?

現在も活躍されている、特に声楽曲・合唱曲が人気の作曲家さん。

木下牧子さんについてはこちらの記事をご覧ください。

 

作詞のやなせたかしさんって?

アンパンマンの原作者として有名なやなせたかしさん。

実は詩人としてもご活躍されていました。こちらの記事をご覧ください。

 

「ひばり」の歌詞

それでは、歌詞をみてみましょう。

ひばり

 

ちいさなちいさなひばりにも

大きなのぞみがむねにある

ひるの月までのぼろうと

ひばりは夢中でまいあがる

 

ちいさなちいさなひばりだが

大きなのぞみをすてないで

月をめざしてはばたいた

ひばりは必死ではばたいた

 

ちいさなちいさなひばりにも

とうとうさいごのときがきた

空のはてまでのぼれたが

ひばりはそこで死んだのだ

 

耳をすまして聞いていると

なんにもみえない青空に

陽気なひばりの歌がきこえる

死んだひばりの歌がきこえる

 

※傍線部、作曲では「死んだのさ」、「聞いてると」に変更しています。

 

詩・やなせたかし

音楽之友社 木下牧子歌曲集[増補新訂版]Ⅰ p.85より引用

ひばりの一生をえがいた詩です。

やなせさんのことばはとてもわかりやすく、絵本のようにも感じられますが

一方で深読みしていくと、色々考えさせられるような詩でもあります。

 

ひばりってどんな鳥?

ひばりは、全長17センチほど、とても美しいさえずりをする鳥です。

かわいいひばりの動画をみつけました↓

すごく軽やかで美しい声!

見た目もすごくかわいいです。途中おしりをふりふりするのがたまりません(*’ω’*)

 

ひばりは、昔から「春を告げる鳥」としても親しまれており、春の季語にもなっています。

大伴家持や松尾芭蕉、与謝蕪村なども、春の句に読んでいるみたいなんです。

 

また、繁殖期が始まると、オスがさえずりながら高く上がって行く

「揚げ雲雀ひばりと呼ばれる行動があるそうです。

この詩には、

「ひばりは夢中でまいあがる」「月をめざしてはばたいた」「空のはてまでのぼれたが」

といった内容がでてきますが、この「揚げ雲雀」のことを言っているのかもしれません。

 

本当の悲しみは、明るい響きの中にある

この詩に木下牧子さんがつけられた曲。

3拍子で、歌曲集のはじまりにふさわしく、とても優しい前奏から始まります。

 

ひばりの人生が穏やかなメロディーにのって語られていきますが、

3段落目の「ちいさなちいさなひばりにも とうとうさいごのときがきた」からは

マイナー(短調)の要素が少し入ってたり、メロディーやリズムも微妙な変化があって

「ひばりの死の予感」を感じされられます。

 

しかし、意外なことに

「ひばりはそこで死んだのさ」のところでは、短調ではなく、長調に転調するんです

この長調の、しかも5度上に転調した明るい響きが、逆に喪失感を感じさせるというか…

大学の頃、作曲の先生が授業中に

「短調より長調の方が悲しみが大きい」といった話をされていたのを思い出しました。

本当の悲しみは、明るい響きの中にある、という感覚。

この曲のこの部分を味わうと、なんだか少しわかるような気がします。

 

木下牧子さんの、かなり初期の作品!?

以前他の曲でも紹介しましたが、

この歌曲集について、木下牧子さんご本人が書かれた記事をご紹介します。

[blogcard url=”http://www.asahi-net.or.jp/~az4m-knst/qa_bucknumber/qa43.html”]

 

木下牧子さんは高校を卒業されてから、一浪してピアノから作曲に転向されて大学に入るのですが

この記事によると「ひばり」はその浪人中にかかれた作品とのこと。

木下さんが作曲をはじめられて、本当に初期の作品なんですね。

おそらく18~19歳頃の作品でしょうか。すごい…。

 

おわりに

これは、完全に個人的な気づきで余談なのですが、

「ひばり」といえば、あの女性歌手を思い出しますよね。

美空ひばりさんです。

美空ひばりさんは、言わずもがな昭和の歌謡界を代表する歌手であり、

死の直前まで舞台に立たれていました。

美空ひばりさんの人生を思うと、この詩との共通点が多くて

なんだかこの曲も美空ひばりさんのことを歌っているように思えてきて、、

これに気づいたときは、ひとり衝撃を受けました…!

この詩がかかれたのは美空ひばりさんが亡くなるよりも前なので、やなせたかしさんの意図とは違うかと思いますが…

なんだか不思議な偶然ですよね。

 

掘り下げていくと、色んな解釈ができる本当に素敵な詩と曲だと改めて感じました。

今後も大切に歌っていきたい一曲です♩

 

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永井友梨佳
声楽講師/ボイストレーナー。ソプラノ歌手。
鳥取県米子市出身。京都市立芸術大学音楽学部声楽専攻卒業。

ストアカ プラチナバッジ獲得講師。レッスン受講者からの評価は、平均☆4.97をいただいています(レビュー件数200件以上)
延べ30時間以上の解剖学の学びを活かし、ラクに気持ちよく歌える発声方法をお伝えしています♪

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