ネオクラシカルな日本のうたのご紹介シリーズ!
今回は、木下牧子作曲・立原道造作詞の「夢みたものは…」をご紹介します。
作曲の木下牧子さんって?
現在も活躍されている、私も大好きな作曲家さん。
詳しくはこちらの記事をどうぞ↓
作詞の立原道造さんって?
立原道造さんは、時代をさかのぼり、大正から昭和の時代を生きた詩人です。
立原道造(たちはら みちぞう) 大正3―昭和14(1914―1939)
詩人・建築家。東京生まれ。東大建築科卒。立原道造は1934年(昭和9)夏、初めて信濃追分に滞在し<村ぐらし>を経験、それをもとに詩「村ぐらし」「詩は」2篇を「四季」に発表し、文壇に登場した。堀辰雄、三好達治、丸山薫の3名の共同編集でスタートした月刊誌「四季」(第2次)の編集に津村信夫とともに関わった。たびたび軽井沢を訪れ、音楽性豊かなソネット(十四行詩)などを多く発表。軽井沢においては堀辰雄や室生犀星らに兄事し、交流を深めた。生前、二冊の詩集『萱草に寄す』『暁と夕の詩』を自費刊行。大学の卒業設計は「浅間山麓に位する芸術家コロニイの建築群」。第1回中原中也賞受賞。24歳8ヶ月で病没。
(軽井沢高原文庫Websiteより引用)
詩人でもあり、なんと東大の建築科を卒業されて建築家でもありました。
そして、24歳の若さで結核によって亡くなられています。
「夢みたものは…」の歌詞
では、詩をみてみましょう。
ちなみに曲の歌詞では最後の一部分がカットされているのですが、
今回は立原さんの原作の詩を載せてみますね。
夢みたものは……
夢みたものは ひとつの幸福
ねがつたものは ひとつの愛
山なみのあちらにも しづかな村がある
明るい日曜日の青い空がある
日傘をさした 田舎の娘らが
着かざつて 唄をうたつてゐる
大きなまるい輪をかいて
田舎の娘らが 踊ををどつてゐる
告げて うたつてゐるのは
青い翼の一羽の小鳥
低い枝で うたつてゐる
夢みたものは ひとつの愛
ねがつたものは ひとつの幸福
それらはすべてここに ある と
詩・立原道造
何気ない、ありふれた風景だけど、そこに幸せがある。
私たちの当たり前の日常にこそ、幸せがあるんだよと気づかせてくれるような詩です。
とても優しくあたたかい気持ちになる詩ですよね。
立原道造と恋人のエピソード
作詞の立原道造さんのエピソードを知ると、この詩がまた違った見え方をしてきます。
立原道造の晩年、病室でかいがいしく看病をしていた女性がいた。最後の恋人とされる、水戸部アサイである。
水戸部アサイは、建築家でもあった道造が勤務した建築事務所の同僚であり、タイピストとして働いていたモダンな女性であったそう。
道造は、1937年6月5日の日曜日、アサイを誘って、軽井沢へ日帰りの小旅行へ出かける。
旅行先の信濃追分駅近くの草むらで、道造はアサイにプロポーズをしたという。
翌1938年に、道造はアサイを過ごす幸せな時間を詩にしたためた。
「夢みたものは…」を書きあげた道造は、その年の12月に容態が悪化。3か月後の1939年3月29日に、道造は24歳の若さでこの世を去った。
水戸部アサイさんと軽井沢へ小旅行へ行った頃、立原さんの病状はすでに進んでいたそう。
この背景を知ると、この詩へ込められた想いがとても切なく感じます。
明るい日曜日に、何気ない風景があって、恋人と過ごす幸せな時間があって、
その時間が長くは続かないかもしれないとわかっていながら、
「夢みたもの」は「すべてここに ある」と、今の幸せを強く感じている。
詩をじっくり味わえる曲
この詩に木下牧子さんがつけた曲は、とても穏やかな旋律です。
まさに、日曜日の平和な木漏れ日の中にいるような、満たされた感覚。
そして、聴いていても、歌っていても、
立原さんのひとつひとつの言葉を、じっくりと味わうことができます。
木下牧子さんの公式Youtubeチャンネルに、演奏が載っていたのでお借りしますね↓
(KINOSHITA Makiko Channel (OfficeAsai)より引用)
立原さんのこの詩に込めた想いが、シンプルに、じんわり伝わる素晴らしい曲です。
おわりに
合唱曲としても人気の高いこの曲。
詩の背景を知ると、さらに深い表現ができそうですよね。
今のこのご時勢だからこそ、共感できる部分もたくさんあると思います。
私もこの詩と曲を味わってみて、今あることに感謝しようと改めて思いました。
本当に素敵な曲です(*^^)
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それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました♪